医療系コンサルのサラリーパーソンから、創業150年を超える老舗茶屋への転身/ 塚本麻衣さん(茶重商店)

Q. 松阪に移住される以前は、どういったご経歴だったのですか?

生まれは長野県長野市です。中学校から松本市内へ引っ越しました。その後東京の大学を出たあとに、大阪で社会人を7年くらいやり、その間に主人と出会って結婚をしました。

義理の父が体調を崩し、夫が家業を継ぐタイミングで、2014年頃に松阪に移住しました。

大阪で働いている頃は、医療系クリニックのIT化支援や情報配信サービスに従事していたので、まったく違う世界に飛び込んできた形です。

ずっと転勤したり、引っ越したりはしていたので、新しい土地へ来ること自体への抵抗はなかったのですが、自営業というものは初めてだったので、とまどいもありました。

Q. 現在のお仕事内容は?

松阪産のお茶の小売業、陶器や和雑貨の販売、お店に併設しているギャラリーの運営などが、主な仕事です。

商品開発は基本的に夫がやっていて、私自身は特に、お店のディスプレイや、陶器の仕入れ、セレクトなどを担当しています。

また、商品パッケージのアイデアは、自身のITスキルを活かしてサポートしたりしています。

先日、このティーパック商品のパッケージをリデザインしました。

お土産として手にとっていただけるように、“松阪茶”ということを前面に押し出しました。またかわいいデザインの缶入りにして、喜んでお持ち帰りいただけるようにしました。

おかげさまで、評判も上々です。

大切にするということを、大切に

Q. 歴史あるお茶屋の指針とは?

安いお茶や陶器であれば、どこでも簡単に手に入る時代ですよね。

そうした時代の中で、本当に気に入ったものを、大切に大切に使っていただきたい。ものを大切にする心、という軸を先代から受け継いでいるように思います。

Q. 松阪茶への想い

もともと長野県に住んでいた時には、朝から晩まで食事のときも含めて四六時中お茶を飲んでいたので、とても身近な存在ではありました。

にもかかわらず、松阪茶を初めて飲んだ時、衝撃を受けたんです。

これまで飲んできたお茶の中で、すごく色も味も濃く、美味しい。長野で飲んでいたお茶とはまったく違いました。

私が受けた驚きを、皆さんにお伝えしたいですね。静岡や鹿児島と並んで、松阪の茶は美味しい、ということをもっと広めていければ嬉しいなと思います。

おもてなしの町、松阪で

Q. 今後の目標は?

私たちのお店があることで、地域の暮らしの質を上げ、暮らしが豊かになるお手伝いになればと思っています。質を上げる、と言っても、高いものを買うとかそういうことではなく、「日々の暮らしを楽しむ余裕を持つ」「人やものを大切にする気持ちが育まれる」そうしたことに貢献できるといいなと。

夫はお茶以外にも、料理や観光など、いろいろな知見・スキルを持っているので、お店でそれを思う存分発揮出来る場にしていって、自分はそのサポートをしていければと思っています。

Q. 塚本さんにっとって、松阪という町の魅力とは?

ここに暮らす人、だと思います。

皆さんそれぞれの趣味や活動に一生懸命とりくんでいて、社交的で明るい人が多い印象です。

商店街の女将の会に参加するようになって、地域の横のつながりができてきて、とても楽しい場になってきています。皆さん、無理なく自発的に活動していて居心地がいいですね。

あと、おもてなしをしたい、という気持ちが強い町なのかなと思います。

私たちのお店でも、お代は頂戴せずにお茶を振舞わせていただいたりしていますが、そういうことが当たり前のように根付いている町ですね。

かつてお伊勢参りの際に伊勢街道を行くたくさんの人々をおもてなししてきた町の歴史が、受け継がれているのではないかと思います。